転職活動全般

採用コンサルタントに現在の採用の傾向について語っていただいた:「大手企業でも面接の精度は高くない」

採用は企業規模を問わず、大きな経営課題となっている。

採用がなかなかできないというところから、せっかく苦労しても採用した人がなかなか活躍しない、もしくは採用した人がすぐ辞めてしまうといった幅広い問題がある。

株式会社トランスの塚本鋭氏は、データを軸に採用コンサルティングやデータ分析を可視化したHRサービス(TRANS.HR)を展開している。

塚本氏に優秀な人材の採用方法について語っていただいたので、ぜひご覧いただきたい。

*本記事は、キャリア美人株式会社で行われた、株式会社キープレイヤーズ代表取締役高野秀敏氏(左)と塚本氏(右)の対談をもとに作られております。

優秀な人を採用するなら面接プロセスの改善から始めよう

-採用について伺いたいのですが、なぜ、企業は優秀な人を採用できないのでしょうか。

採用する場合は、大きくわけて3つのプロセスからなります。

エントリー(母集団形成)、2.選考(見極め)、3.クロージング

の3つです。

このプロセスにわけたときに、選考(見極め)の部分にフォーカスされることは少ないかなと思っています。

せっかく母集団形成に力を注いでも、選考のやり方がよくなければ、採用活動が失敗してしまいます。

母集団形成やクロージングに時間を注ぐのではなく、選考方法に注目してお話していきます。

面接をしている方に、「あなたは面接を平均と比べてうまくできているか」ということを聞くと、80%が平均よりうまくできていると答えています。

この質問は、運転に関しても、自分は運転が人よりうまいと言う人が80%に昇ることと同じです。

面接においては、自分がうまくできていると勘違いしているために、面接プロセスを改善することなく、優秀ではない人を採用し続けている現状があります。

-優秀な人を採用するといったときに「採用すべき人」とは誰の事でしょうか。

採用すべき人とは、「スキルや経験値が高い人」、「ビジョンに共感している人」、「社長が気に入る人」といった項目が出てきます。

しかし、私の考えだと、最も大事な項目は「入社後に活躍する人」です。

採用段階で面接は重要なプロセスですが、面接を改善して、良い面接をするのは難しいですよね。

私は野村総合研究所の後、クラウドワークスという会社で働いていてマネージャーを務めていたんですよね。そこで、採用も担当していました。

ふと私の採用を振り返ったときに、10%だけが高評価で、残りは普通の評価や低評価になっていて、一部、早期退職につながっている数字もありました。

採用をやってみて採用の難しさや、入社後に活躍する人の見分け方について考えるようになりました。

研究結果によると、一般的な面接では約14%しか入社後評価を予測できないとされています。

つまり、面接のトレーニングを受けたことがない人が一般的な面接を行っても、入社後のパフォーマンスを測ることは難しいといえます。

有名企業でも面接の精度は高くない

-なるほど。だから最近は、短期インターンという形を導入する企業もありますよね。面接では優秀な人をなかなか見抜けないのでしょうか。

Google社のデータでは、1回の面接の精度は75%となっています。

つまり、10人面接したときに、3人は低評価者を採用してしまっているということです。逆に、高評価者を3人は落としてしまっているという事実もあります。

世界的な企業でも約25%は間違った採用をしているということが言えます。

私もクラウドワークスで採用を担当していて全然当たっていなかったことからも分かるように、自分ではできていると思っていても実はできていないことが多いのです。

70%の精度であれば一見高い数字に思う方がいるかもしれません。

例えば、20人の応募者がきて、高評価者が10人、低評価者が10人だったとします。

このとき、70%の精度だと、高評価者のなかから7人は合格させて、3人は誤って落としてしまいます。逆に低評価者のうち3人は誤って合格させているという状況です。

しかし、これは大前提として、高評価者と低評価者が50%ずつ入っていたときの仮定です。

応募者のうち1割しか高評価者が母集団にいなかった場合はどうでしょうか。

20人の応募がきた場合、20人うち2人しか高評価者となる優秀な応募者がいないことになります。

こうなると、採用プロセスで30%の間違いが起きると仮定すると、1人しか高評価者を採用できない状態になっています。

もっと大きい単位で考えてみましょう。

1次面接、2時面接、最終面接のプロセスがあり、300人の応募があったとします。

300人応募きたときに、10%、つまり30人が高評価者だとします。70%の精度だと、1次面接の時点で、30人中21人しか高評価者が面接を通過しません。

これが、二次面接、最終面接を経て、採用精度が70%の状態を保ったとすると、30人の本来は高評価者となる、採用すべき人の母集団から最終的には8人しか採用できていないということになっています。

せっかく300人の母集団を集めて、そのなかに本来採用すべき30人の高評価者がいたにもかかわらず8人しか採用されないのでは、時間や労力の無駄遣いと言うほかありません。

よって、この採用精度、つまり人を見極める力を上げていくことで採用の成果は大きく変わってきます。

70%が80%になるだけで本来採用すべき人を採用できる確率が大幅上がりますし、採用精度が10%下がるととりこぼしがたくさん出てしまいます。

見極める力を高めると、母集団形成に力を入れなくてもいいわけです。

本日お話したいことして、採用のプロセスの母集団形成、面接による見極め、クロージングによる内定承諾の3つのフローがありますが、見極め力を上げることが企業の採用力を上げることの一番の近道と言えるでしょう。

採用に強い企業は7つのポイントを重視している

-塚本さんはデータによって採用を分析していますが、採用に強い企業はどういう点に注目しているのでしょうか。

ようやく本題に入りますね。まずは、採用に強い企業が実践する7つのポイントということでお話しさせていただきたいと思います。

-ありがとうございます。早速1つ目からお願いします。

1点目ですが、入社後評価を基準にするということです。

多くの会社は採用段階で、応募者をはじめ母集団人数や、採用人数がKPIとなっているので、入社後のことがおきざりにされています。

入社後のパフォーマンスに関わる指標を面接時から取り入れていけば、入社後の評価と面接時の評価がより相関していくことになります。

2点目ですが、判断基準となるデータを増やすことです。

採用時に利用できるデータは多くないので、できるだけ判断材料を集めることが重要です。

履歴書、面接結果、リファレンス、テストの結果をしっかり集めて、判断基準として使えるようにしておくべきです。

3点目は、適性検査を「正しく」利用するということです。

適性検査の結果が本当に合っているか確かめることが大事です。

とある企業のデータですが、能力偏差値(SPIの国語や算数のスコア)が65以上の企業をみると、高評価の人が37%います。

逆に、能力偏差値が65以上の企業でも、27%の低評価の人が紛れてしまっています。

私が調査したある企業における、能力偏差値が50未満の企業だと高評価の人は0になっています。つまり、SPIがある程度機能しているということです。

逆に能力偏差値50~65だと、高評価の人を適性検査で落としてしまっている可能性があります。

-職種には関係ないですか?

職種や業種よって、能力偏差値の「低さ」の基準に、多少違いは出るかもしれません。

先ほどの会社では「偏差値50以下」という基準でしたが、別の会社では「偏差値40以下」という基準が適切だったり、完全に評価と能力偏差値に関係のない会社もありました。

-ありがとうございます。4点目を教えてください。

4点目はカルチャーフィットによる見極めです。会社によって活躍しやすい人材は異なります。

似たような業界でデータをとっても、A社だと創造性や柔軟性を持つ人が活躍する一方、B社は安定・秩序を重視するタイプが高評価を受ける傾向がみられました。

B社で活躍する人材は、A社だと活躍しない人材になることがあるので同じ業界のなかでも会社選びは重要です。

書類で落としてしまう人のなかでも、会社の高評価になる特性を持っている、つまりカルチャーに合っている人は面接に進ませてみるということも大事です。

5点目は、AI(機械学習)を使うことです。

高評価の人と低評価の人、全体のそれぞれで単純な平均を基準にして、どのスコアが重要なのかを機械学習を使って見極めていく必要があります。

分析結果を活用すると、早期退職も予測可能です。

6点目は、選考フローを変えることです。

選考のなかで間違えが起きることを考えていくといくつかの対策があります。

例えば、Amazonだったら面接後のミーティングを設定します。

2次面接で5人が順番に面接を担当して、面接後にミーティングをしています。これで不採用理由を検証して、面接の精度を高めるようにしています。

Googleは再評価プログラムを導入しています。

書類で不採用になった人の応募書類を分析して、1万人の応募書類を見直し、150名を採用につなげています。

7点目は、社会全体の傾向を知るということです。

どういう思考タイプの人がいるかを分析していくと、相対的に傾向がわかるようになります。

例えば、休職経験者には内省、規律の評価項目が高い人が多いという結果になりました。

以上が採用のときに気を付けるべき7点です。

面接は外れるという認識を持っていただいて、その上で、現状を可視化してみましょう。面接結果や入社後評価をチェックしてみてください。

-ありがとうございました。

編集後記

今回は、採用のスペシャリストに採用、主に面接のプロセスについて語っていただいた。

この記事が直接的に転職希望者の役に立つことは少ないかもしれないが、こういった採用の裏側を知り、企業側の目線に立って転職について考えることも必要である。

転職したいかどうかに関わらず、こういった情報には常にアンテナを張り続けて情報を収集してほしい。

直接、企業の情報を知りたい方はビズリーチに登録して転職エージェントに会おう。

今回の記事のような様々な業界の事情を教えてくれる。