職種別アドバイス

外資系事業会社におけるマーケティングの考え方について聞いてきた

外資系企業といっても様々で、投資銀行やコンサルティングファームのようなプロフェッショナルファームと呼ばれるものと、P&G、GE、ウォールトディズニー、マクドナルド、マイクロソフトいった事業会社に分類される。

特に、P&Gを中心とするメーカーは消費財認知度が高いが、それ以外の事業会社の業務については詳しく知らないのではないだろうか。

今回は、外資系事業会社の方に業務内容(マーケティング)について伺ってきた。エンターテイメント業界なのでやや特殊ではあるかもしれないが、面白いインタビューだったのでご覧いただきたい。

経歴

-簡単に経歴を教えてください。

新卒で、現在勤務している外資系の事業会社(エンターテイメント系)に入社しました。マーケティングをしたいと考えていたので、マーケティング職で採用しているところを探しました。

P&G等の有名外資消費財メーカーと比べると知名度/ブランド力は高くありませんでしたが、少数精鋭であること、商材の面白さ、人材の優秀さに惹かれて現在の会社へ入社しました。入社後は一貫してマーケティングの部署に所属しています。

外資系事業会社の仕事内容

-具体的にマーケティングとはどのような業務をしているのですか。

複数プロダクトのプロジェクトリーダーとして、プロダクトの経営・マーケティングを一任されています。

具体的には、プロダクト導入検討〜実導入まで以下の3フローで回して、プロダクトの経営責任者として結果を出していくことが求められます。

1)戦略フェーズ:プロダクト戦略及びコミュニケーション戦略の策定とリソース(予算など)獲得

2)戦術フェーズ:社内各部署、広告代理展・ベンダーと連動した、戦略を最大化させる包括的マーケティングプランの策定と実行

3)効果検証フェーズ:プロジェクトのアクション結果を短期(数ヶ月)、または長期(1年)でレビューし、成功要因 / 失敗要因を明確化し、次回以降のアクションを改善する

基本的にはP&G等の消費財メーカーと同じく、弊社では20~30程度のプロダクトを扱っており、それぞれにプロジェクトマネージャーがつき、プロダクトの経営とブランド作りを任されている形です。

‐コミュニケーションの開発について具体的に教えてください。

誰を狙うか(ターゲット)、彼らの隠された欲求・不満は何か(インサイト)、インサイトを満たす便益は何か(ベネフィット)、ベネフィット訴求を最大化するためにどのようなプロモーションを行うか(HOW)を一連で考える仕事です。

ターゲットに関しては、膨大な消費者データを駆使して、ボリューム×プリファレンスを最大化させるようなターゲットが誰であるか、明確化します。

ベネフィットに関しては、ターゲットのインサイトを解決するために、どのような機能便益・感情便益を訴求するかを考えるフェーズです。

最後にHOWに関しては、主に以下3点に関して取り組みます。

-メディアプランニング(コストをどのメディア[テレビCM/Digital・Social/電車・駅広告/PR等の]のどの媒体に、どれくらい投下することが利益を最大化させるか)

-各種広告/PR開発(テレビCM、デジタル広告、PR)

-売りを最大化するPricing,キャンペーン開発(Pricing / Discount / 商品バンドリング等)

HOWの中心はテレビCMになってくるため、この開発は自身で担いますが、テレビCM以外の、例えばSNSといったデジタルのコミュニケーション戦略を担当する部署が専門で存在しており、すべて一人で実行する訳ではありません。

彼らに専門的知見を存分に振るってもらいながらも、全体のコミュニケーション戦略からOff Strategyとなっていないか、適切にフィードバックし、チーム全体として一気通貫したメッセージを消費者に届けていくことが重要です。

また、これらの一連の活動を感覚的に行うと、稀有な才能がなければ大外しすること間違いなしなので、自身の感覚・経験を信じながらも、各種データを分析し、成功確率の高い意思決定を行う必要があります。

したがって、マーケターは定量的/定性的分析の素養を身につけることが求められます。

分析方法について

‐定量的な、定性的な分析はどういうものがあるのですか?

フェーズによって色々あります。

プロダクトの需要予測(導入によってどれくらいの販売数が見込めるか)やターゲットやベネフィットを特定するための各種顧客データやアンケート調査の定量分析や、値段を決定するためのPrice Sensitivityの検証、広告投下費用と投下先を決めるためのMediaMixの検証など、様々です。

定性的分析は大きな戦略策定やプロダクト改善に用いることが多いです。具体的にはFGI(フォーカス・グループ・インタビュー)や対面式インタビューを行い、消費者を深いレベルまで理解することに用います。

‐定性的な分析とはどのようなものでしょうか。

定性的な分析は、社内ではあまり多く実施しませんが、FGI(Focus Group Interview:グループインタビューの一種)や対面式調査を行います。

例えば大規模なプロダクトを投入する際には、FGIをおこなって、調査設計から質問項目までを考えます。

調査設計とは、ターゲットはこういう人だから、調査のためにリクルーティングすべき消費者は、こういう年代のこういう属性の人を何人呼ぶべきだよねといった内容です。

質問項目とは、FGI中に質問する具体的な項目です。

FGIを通して、定量調査では掴めない深いレベルでの消費者理解をすることが可能です。こうしたラーニングが定性的な分析になります。

‐消費者調査や需要予測は、読めないものが多く、定性的になりそうですが。

いえ、ほとんど定量的です。厳密には、アイデアが出てもすべて定量化しているため、無理やりほとんどのものを定量化しているといったほうが良いでしょう。

過去の事例を元に、あらゆるものを数字に置き換えます。定量化できないものは導入しないという風潮が社内にはあります。

色々な案の中から定量化をして、収益力のあるものを中心に有力なものが選ばれていきます。そして選ばれたプロダクト(アトラクション)が実際に作られていきます。

この年に、このプロダクトを出せば、このくらいの収益が得られるといった試算が、ある程度正確に立てられることができます。過去のデータがあるので、定量化は十分に出来るわけです。

定量的なレビューを大切にする

‐プロダクト販売後にはふり返りはするのでしょうか。

販売後、一定期間を経てレビューをします。

レビューがとにかく大事で、チームメンバー全員を巻き込んで、2ヶ月程度かけて慎重にレビューして行きます。

今回のクリスマスの施策は成功/失敗のどちらと言えるか。いずれの場合も成功した理由、失敗した理由を分析し、次のアクションに活かしていく。

この際にも定量的かつ客観的にレビューすることが求められます。担当者が主観で多分こういう理由だろう、というのは全くもって認められません。

‐定量的なレビューとは何でしょうか。もう少し具体的に伺えますでしょうか。

需要予測で立てた数字に対して、売上結果がマイナス20%になったとします。このマイナス20%を強引に分解して、何がこのマイナス20%を生んでいるかを考えます。

マーケティングにおいては、認知から購買までのモデルを知っている人もいるかと思いますが、認知×購買意向×CVRに分けて考えます。

プロダクトが認知されていなかった、つまりテレビCMでの認知形成力が足りなかったのかといった形で様々な要素を分解して理由を探っていきます。

過去の似たようなプロダクトを分析し、ベンチマークと成り得る類似したプロダクトを元に、事前に上記認知・購買意向・CVRの目標値を作っています。

それに対して、結果がどうだったのかを見て、目標との変動要素を、その目標を左右する各施策を詳しく精査して、マイナス20%の部分の「理由」を見つけていきます。

‐あらゆることが数字で示されており、数字に基づいたマーケティングのように強く感じます。

他社のことは存じ上げませんが、数字を使って考えることが求められており、定量的に考えることに強い会社です。ビジネスはすべて数字で考えるべきだという社風です。

仕事のやりがい

‐仕事のなかで面白いなと感じる部分はなんでしょうか。

マーケティングという業務の幅が広いという点が面白いです。領域の広さですね。
会社の大きな経営戦略から、各プロダクトのマーケティング戦略まで経験できるところです。

また、チャネルに関してもテレビCM、テレビ番組、デジタル広告、オフラインのプロモーションといったチャネルごとのマーケティングに携われます。

エンターテイメントなので、特にテレビ番組の引きが強く、デジタルでどんどん発信してもらえます。

消費者が常に、SNS等で感想をシェアしてくれるので、消費財業界のマーケティングよりも消費者の反応をダイレクトに見ることができます。

こうした反応をラーニングとして生かしやすいです。施策のふり返りがしやすく、次に活かせるラーニングを多く得ることができます。

‐エンターテイメントという性質上、主要ターゲットに若い女性は多いと思います。女子高生や女子大生は消費者理解が難しそうですが、その点いかがでしょうか。

女子高生が使うサービスをチェックしたり、twitterやinstagramで女子高生のアカウントを見ていたりします。

ただし、自分とはかけ離れたターゲットであっても、基本的には定量的に示されるという考え方に基づいています。例えば、プロダクトのどのポイントに惹かれたかは理解できます。アンケートを取れば、どこが良かったかわかりますから。

上記のレビューから、認知・購買意向等の指標や実際のプロダクト体験評価を徹底的にレビューするので、構成要素のどのポイントが良かったのかはふり返ることができ、数値化できます。

このように数値でわかることが多いとは思っています。アンケートのサンプル数さえ集まれば十分に振り返りはできます。

一方で、我々が見ることができるのは、消費者が行動してくれた結果の部分がほとんどで、その行動を起こすに至ったWHY(インサイト)の部分はわからないです。

女子高生も日常生活があり、普段使うサービスや、友達の中で流行っているものがあり、日常生活で形成された考え方に基づいて意思決定がされています。彼女たちのコンテクストが理解できない限り、「WHY」の理解は難しいでしょう。

ターゲット(WHO)がいて、彼らのWHY、すなわちインサイト(購買意欲の核心やツボ)が分かれば、その戦略に基づき、様々な領域でプロダクトを展開することが可能です。

したがって個人的には、消費者のインサイトを開発できることはヒットを打ち続けるために不可欠であり、マーケターとして最も重要な素養の一つだと考えてます。

例えば、日常生活にストレスを感じているけど、それを吐き出す場所がないといったインサイトを得ることができれば、そのインサイトを満たすことを考える手法はいくらでもあります。

ストレス発散のアイデアはいくらでも出てきますが、そのターゲットがそもそも日常生活にストレスを抱え、発散場所がないというインサイトを得て、定量化していくことはマーケティングにおいて難しい点です。

‐統計学のような専門的な分析スキルは身につきますか。

正直身につかないです。

理由は大きくシンプルに1つです。マーケティングの部署は周りを巻き込む必要があり、彼らを巻き込むにはシンプルにわかりやすく、掛け算で示すのが良いからです。

周りに伝える時に、今回のプロダクトは、認知×来場意向×実際の購買×単価で構成され、特に認知を上げるためにこういう方向で推進して欲しい、と共有したほうが分かりやすく、統計の難しい分析結果を共有しても、他の部署に納得されにくく、アクションに繋がりにくいのです。

マーケティング以外の人がいる中で全員で共有して、望む方向に向かうためには、掛け算で要素分解して、この指標を伸ばしていくと売上が伸びるよね、と示すことが重要です。

したがって、分析時は掛け算の式を考えることに奔走します。具体的には80%くらいですね。残り20%で基礎的な回帰分析、機械学習を使うことはあります。使ってもあまり理解されないので使いません。そのモデルが正しいのかと理解してくれる人が少ないです。分かってもらえないものは分析に使うべきではありません。

統計的な分析手法は、1)どうしても掛け算で分解出来ない時 2)投資額が非常に大きく、成功確率を上げるために多面的な分析が必要な時にオプションとして用います。

このようなやり方の良し悪しには賛否両論あると思いますが、結局、分析というものは何か仮説を検証するためのツールでしかありません。

複数のプロジェクトを持ち、それぞれで成果を出さなければならないという中でのリソース投資の方法として、今のやり方は正しいと思ってます。

データサイエンティフィックなやり方で分析をしていないので、統計学的な分析スキルは身につかないと思います。

使っても統計的に有意かどうか検証する、簡単な回帰分析を回す、因子分析やクラスター分析でセグメンテーションするくらいでしょうか。

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マーケティングに必要とされるのはリーダーシップ

‐マーケティングの仕事をしていくうえで難しい点は何ですか。

圧倒的に、人を巻き込んでいくリーダーシップの取り方です。

マーケターはプロジェクトリーダーとして、時には価値観や異なる目標をもっている他部署や社外のステークホルダーを巻き込んでいく必要があります。

この巻き込み方が非常に難しく、時には相手の怒りを買ってしまい、プロジェクトが停滞してしまうこともあります。

リーダーシップというものは普遍的ですが、そのリーダーシップの取り方、すなわちスタイルは千差万別だと思っており、今は自分の強みを生かしながらこういう形で指揮を執ったらうまく行くのではないかと仮説を立て、1回1回のMTGや交渉ごと、メール作成時にその検証を行い、自分のリーダーシップのスタイルを磨いている段階です。

-P&Gをはじめ消費財業界ではグローバルでデジタル削減の話がありましたが、貴社ではどう考えられていますか。

デジタルの必要性は感じているので、どちらかといえば増やそうという動きですが、2018年現在では、まだ方針は決まっていません。

デジタルと一言では括れなくて、色々な種類があります。

自社のWEBサイトにおけるデジタル体験の向上は絶対的に必要だと考えられています。プロダクトを購入しにくいとか、案内が不便だとかそうしたものは絶対に改善すべき点です。

一方、デジタル広告を用いた集客を考えた際に、テレビCMと比べてどちらが良いかはなんとも言えない状況です。

デジタル広告の投資は比率として多くはありません。よって、デジタル広告が施策にどれくらい影響したのかが分からない状況です。

デジタルの施策が上手くいったというよりも、他の部分によって、上手くいった部分が大きいというふり返りになるという結論です。

今後、注力していくのがデジタル広告の投資ではないでしょうか。

成果主義の外資系企業

-外資系であることを感じることはありますか。

日系企業で働いたことはないですが、「成果主義」である点は外資系という雰囲気があります。

成果さえ出せば、何をしてもいい雰囲気です。会社に来る時間が遅くても、早く帰っても、成果が出ていれば何も言われないです。

また、女性も会社を休む産休育休、または時短勤務も成果さえ出していれば何も言われないです。

後、外資系を感じる点としては、エンターテイメント業界であることもありますが、変化が速いですね。加えて、変化することを恐れない人たちが働いています。

-外資系ということもあり、人材の流動性は大きいでしょうか。

流動性が大きいの定義が分かりませんが、感覚値として辞める人は多い方なのではと思います。

そして、優秀な人が辞めていきますね。私が優秀だと思った人から会社から抜けていっているのが残念な点ですね。

-転職がしやすいということでしょうかね。

今の会社で成果を出せば、他でも通用する経験を積めることは間違いないと思っています。ただ、会社に残っている人からすると、他の優秀な同僚が辞めるのは寂しいですよ。

-成果を出せない人はどうなるんでしょうか。

成果を出していない人はクビになることはないですね。人材は長期的に育成しようという方針があり、せいぜいポジション降格というくらいです。ポジション降格もそうそう起こりえることではないです。

よく外資系の戦略コンサルなどで言われるアップorアウトでは全くありません。個人的にはアップorアウトにしてほしいですが。

‐できない人はいる?

できない人はいないですが、仕事へのモチベーションがそこまで高くなく、与えられた仕事だけやろうというマインドの人はいます。こっちからプッシュしないとアウトプットが出てこない人ですね。

自分から自発的に動かない人もいるので、人によってコミュニケーションを変えていかないといけないです。

‐御社の事情だと、右肩上がりの状況なのでみんな成果が出そうですが。

「成果」はプロダクトの売上だけで決まるわけではありません。実は評価に関しては、必ずしも定量的なものばかりではないのです。端的に言うと、自分の見せ方が重要です。

プロダクトは失敗しまくっているけど、昇進している人がいます。彼らはリーダーシップをとって、自分発信で進めていくことが評価されています。

自分の足で進めて、周りを巻き込んでいくと評価され、昇進する。リーダーシップを会社は求めています。

ビジネスが結果として良くなくても大丈夫なんです。なぜなら正しいリーダーシップをとるマーケターが増えれば、確率的に成功が増えて行くことを会社は知っているからです。

逆にビジネスの結果は良くても、新しい試みをしなかったり、リーダーシップがなかったりすると評価は良くないです。

おっしゃる通り、ビジネスの状況は良いので何もしなくても去年より結果は良くなることはありますが、振り返ったときに、何か昨年と違うことをしていない人は昇進できません。

結果を気にせず、やりきれるかが重要視されていると思います。

‐どういう人が優秀だと思いますか。

定量的に物事を考える力があって、人に分かりやすい形で説明して、アクションまで繋げられる人ですね。

ロジカルで、何をやるべきかが頭で分かっている人は、マーケティングを学んだ人ならそれなりの人数がいると思います。正直、マーケティングにおいて戦略を立てることはあまり難しくないのです。

ただし、何をすべきか分かっているなかで、周りに分かりやすく説明でき、実際に導入までこぎつけることを継続的にできる人は少ないです。

マーケティング以外の部署の人たちに分かりやすく説明して、このプロダクトを新しくやるべきだよねと説明して、分かりやすく納得してもらう部分はかなりハードルが上がります。

さらに戦術・実行フェーズにおいて、周りのモチベーションを上げて、周りを巻き込んで行くことによって戦略上100%のものだったプランを、実行部分の改善で120%のプランにできる人はもっと少ないです。

リーダーシップの型がある人は優秀だなと思います。うまくまとめていくためのスタイルがある人は安定してパフォーマンスを出せていますね。こうした人たちからは学ぶ点が多く、日々勉強になっています。

外資系事業会社の転職事情

-社内に転職組は多いでしょうか。

転職組は多いですね。現在のマーケティング部署はほぼ中途で構成されています。新卒での採用認知は低いですし、中途がメインですね。

‐どういう会社から来ていますか。

様々ですね。基本的にはマーケティングをやったことがある人が転職してきます。P&Gのような消費財メーカーからくる人が一番多いでしょうか。

また、食品、ゲームといったBtoCのメーカーのマーケティング部門からも転職してきます。デジタル関係の部署ですと、デジタル関連の仕事をしていたところですね。

-外資系出身者が多いですか。

いえ、そういうわけでもなく日系企業からも多く転職してきていますよ。

-外資系ということで英語は必要でしょうか。

英語は部署によります。英語を使う部署では必要です。
ただし、部署のトップが外国人であることは多いので、昇進するためには英語は必須ですね。

-年収について伺いたいのですが、年収1,000万円を超えるのはいつごろですか。

少し遅いので30歳ごろですね。アップorアウトでないところの弊害です。

成果主義だけど、成果が悪い人にもそれなりに給料を払っているため、成果が出ている人に、多く払われているわけではないです。

先ほど転職の話が出ましたが、転職している人は、だいたい100-200万円くらい年収アップで転職していっていますね。

-エンターテイメント業界で働くうえの注意点はどのようなものがありますか。

会社にもよりますが、外資系のエンターテイメント業界は上流から下流まで色々な人が働いています。様々な価値観があるので、多様な人を理解して、その中でうまくリーダーシップをとっていくことが必要です。

コンサルやP&Gは同じような人を採って、同じような思考タイプの人たちと働くので、スピーディーな意思決定が出来るようになっていると思います。

一方、エンターテイメント業界は部署が違うと、全く違う人種の人たちになり、多様性のある彼らを理解する必要があります。

人間社会の縮図みたいな感じでしょうか。違う人を理解してコミュニケーションをとらないといけないため、常に発言内容には気を付けています。

もう1つの注意点は、トレンドの移り変わりが激しいので、自分で経験していかないといけないというところですね。

2、3年前に流行ったプロダクトでも2年くらいすると飽きられています。2年前に流行ったプロダクトが、現在では人気がないということもよくあります。

そこに喰らいついていかないといけないし、上手く次の一手を考える必要があります。次の一手を考えるうえでは、自分でエンターテイメントを経験していないとわからないですね。

トレンドの移り変わりを意識していかないと、生き残っていくことができないです。特にエンターテイメントは特に移り変わりの激しさが顕著だと思います。

マーケティングの仕事に転職したい方へ

-転職を検討している方にメッセ―ジはありますか。

マーケティングの仕事に転職したい人向けだと想像して話をします。マーケティングは定義が曖昧だからこそ、転職してきて「これ想像していたマーケティングと違くね?」ということによくなります。

マーケターになりたい人に会社選びのポイントをアドバイスをします。

まず、会社がマーケティングに力を入れているかどうかをチェックしましょう。会社の経営がマーケティングによって左右されるところがよいです。

具体的には、経営指標の大半をマーケティング部門が握っている会社が良いですね。

-経営指標の大半をマーケティング部門をにぎっているとなぜ良いのでしょうか。

3点あります。

1点目は、マーケティングを経営の重要な指標としているので、考えた施策が世の中に出しやすく、仕事がやりやすいです。

2点目は、マーケティングのプロフェッショナルが集まっていることが多く、優秀な人達と働けます。

3点目は、マーケティングといっても分野が多岐にわたりますが、幅広い領域のマーケティングに携わることができます。

-幅広くマーケティングに携われることは重要でしょうか。

幅広くマーケティングができることは重要だと思っています。

デジタルマーケのめちゃくちゃ細かい部分しかやらないのにマーケティングをやれますよという会社や、リサーチ会社なのにマーケが出来るといっている会社がありますが、それはマーケティングのサポートという感じで本質的なマーケティングではないと感じています。

できるだけマーケティングのファンクションを幅広く出来て、多様なカテゴリのプロダクトを事業として行っており、それらのマーケティングをできる会社が良いです。

-ファンクションを幅広くとはどういうことでしょうか。

ファンクションだと、全社戦略やプロダクト戦略と、様々な角度から戦略に関わることですね。

リソースの配分から使い方、皆さんが知っているものだと4Pといった価格、チャネルといったものまであらゆるものに関われるものが良いです。

また、チャネル1つとっても、デジタルやテレビ番組を含めて、作成したクリエイティブのアウトプット先がいくつもあるところが良いです。

デジタルマーケティングを批判するわけではありませんが、予算とインパクトが小さいので、デジタルマーケティングだけしか出来ない、デジタルマーケターになります。

オールラウンダーのマーケターになるには上述の経験が必要だと思います。

プロモーションの話になりますが、世の流れとして、テレビCMとデジタルとを場面場面で使い分けられる人が良いと思います。その時々で施策が変わってくるので、適切にプロモーションの施策を考えないといけなくなります。

テレビCMかデジタルかを判断するような場面が増えてくるのはその一例でしょう。よって幅広い経験をしている人が重宝されます。

‐特定のことだけ専門性を深めていると、オールラウンドなマーケターとして転職して成功することは難しいでしょうか。

特定の事しかずっとしていない人が転職してきますが、転職後大変そうですね。

オールラウンダーになりたければ20代のうちは幅広く経験したほうがいいですね。オールラウンダーになりたいのに、デジタルのような特定のことしか経験していないと、結果として活躍できないことになりますね。

例えば、調査会社から転職してくると、調査の仕事ばかりやって、出来る幅が狭くなってしまいます。そうなると、転職後も調査の仕事ばかり任され、仕事の幅は広がらなくなります。すでに色がついているので、会社も得意なことでパフォーマンスを出してほしいので。

また調査会社出身だと数字的に、正しい分析ができても人に伝えられない、またリーダーシップの経験が不足しているので、人を巻き込むことができなくなってしまいます。

幅広いマーケティングには、幅広い部署と幅広い人と働きますし、多様な価値観の人と働くことになるのでリーダーシップ経験が身につけておく必要があります。

オールラウンダーなマーケターになるには、そういう目で見ていくことが大事です。多様な経験を積んで、マーケターになるには20代のうちに転職にして経験を積むことがオールラウンダーなマーケターへの近道です。

マーケティングの経験を積むと、マーケティングの弱い会社に転職してマーケティングを強化してもいいですし、自分で起業してもいいですし、キャリアの幅も広がると思います。

営業をしてから、マーケティングが出来るようになる日系企業にいくよりは、マーケティングだけして、日系企業のマーケティングの上のポジションで転職したほうが、キャリアパス的にいいかなと思います。

‐ありがとうございました。

編集後記

今回は、外資系のエンターテイメント系の事業会社に新卒で入社し、マーケティングの職に当たっている方にインタビューを行った。

外資系やマーケティングに興味のある方にとっては、具体的な話も多く、参考になる話だっただろう。

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