ベンチャー企業

ベンチャー企業の現役エンジニアにインタビュー:「違う会社でも通用するスキルを身につけよう」

WEBエンジニアの需要がますます高まっている昨今。それゆえ選択肢が増え、キャリアの歩み方が多様化している。

今回は、新卒で大手ソーシャルゲーム会社に入社後、ベンチャー企業への転職を3回経験した経験豊富なベテランエンジニアに取材を敢行した。彼は、個人事業主としてフリーの経験もあり、大変参考になるお話を聞くことができた。

出世コースを捨て、ベンチャーに転職

-これまでの経歴を教えてください。

大学は情報系の学部を卒業しました。ですが、基礎中の基礎しかプログラミングはしたことなく、また授業もほとんど受けていない状況だったので、学校ではプログラミングは勉強していませんでした。

新卒で大手ソーシャルゲーム会社にエンジニアとして入社して、その後、3回の転職およびフリーランスを経て、現在はベンチャー企業で開発責任者をしています。

-プログラミングは学生時代どこで勉強したのでしょうか。

IT企業でアルバイトをしていました。そこでコードをさわる機会があったので、HTML、CSS、phpを触っていました。後は、Linuxの環境設定をしていました。

決して高度なことをしていたわけではなく、基礎的な経験がある程度でした。

-入社後は何をしていたのでしょうか。

エンジニアコースで入社して、ソーシャルゲームのプロデューサーになりました。

エンジニアは、大きくプログラマコースとプロデューサーコースにわかれていました。プロデューサーコースでは、ゲームの運営設計に関わります。

具体的には、エクセルを使用してゲーム内のダンジョンごとの敵の強さの設定や、アイテムの出現確率、ガチャの調整をしていました。

-エンジニアとして入社したのに、コードはあまり書いていなかったのでしょうか。

最初の数か月は、フロントの修正をしていたので、CSSやJavaScriptをいじる機会はありました。バッチ処理をしていましたね。その後は、コードは書いていないです。

ただ、プロデューサーコースで私のような仕事をしている人は、社内では出世コースとされており、社内でのキャリアは良い方向に開けていました。

しかし、私自身としては、コードを書いてエンジニアとして成長したかったので転職しようと考えました。

どの企業でも通用する能力を求め、エンジニアとして修行を積む

-どのような会社に転職したのでしょうか。

自社でモバイルアプリを運営する会社に転職しました。

ゲームのプロデューサーをしているときに感じたのは、会社が無くなってしまったら、何もできないなということでした。エンジニアとして修業を積むことができる会社を選びました。

-そのままソシャゲの会社に残って、もっとコードを書く部署に異動できたのではないでしょうか。

大手のソーシャルゲームの会社になってくると、部門が細かく分けられていて、担当のことしかわからないんです。

インフラ、バックエンド、フロントと分かれていて、さらにそのなかで領域がわかれているので、負荷を考える部署の人はそれだけ考えていて、逆に他の部署の人は、トラフィックが集中したときにどう対策しようかということはわからないんです。

また、すでに大手の会社だと、運用されてきたものに配属されることがほとんどで、古いコードのまま運用しないといけないことが多いです。新しく書き直すとコストがかなりかかるので、そのまま運用しているのです。

そうなると、新しい技術に触れることも減ってしまい、会社内でしか通用しなくなってしまいます。

人数が少ない会社では、1から100まで自分でやることができると感じ、転職を決意しました。

-転職先の会社はどのように選んだのでしょうか。

興味のある事業領域だったので、面白そうだなと思って話をして転職を決断しました。また、人数の少ないベンチャーに入社したら経験をより積むことできるだろうと考えていました。

また、これから伸びそうな会社だとも感じました。

資金調達直後だったため年収は維持

-転職後は具体的にどのような業務をしていたのでしょうか。

エンジニアとして、インフラ、バックエンドまで1人で担当していました。インフラはAWSを使って、RubyやRailsで開発をしていました。

-転職のときの年収はどうなりましたか。

年収は維持で転職しました。具体的には、新卒時に400万円台前半でした。1年で100万円アップして、その年収のまま転職しました。

-スタートアップ転職で年収維持なのですね。

現在は、スタートアップのエンジニアにも高年収がでていますが、当時は、エンジニア含めITベンチャーの採用にお金が流れ始めていました。

エンジニアの採用といっても、エンジニアとしての実務経験がない中で、良い待遇での採用だったと思います。

-待遇の良いベンチャーに採用されるためにはどうしたらよいでしょう。

結果的にですが、資金調達直後に入社したので、お金が会社にあり、資金を給料に割いてもらうことができました。

資金調達前は会社にお金が非常になかったようだったので、資金調達後に入社できてよかったです。

-年収交渉はしたのでしょうか。

年収交渉はしていないですね。年収は下げたくないと伝えたら、その要望が叶った感じです。

わかるまで質問することが成長の秘訣

-転職先の企業探しはどのようにしたのでしょうか。

ベンチャーキャピタルの人からFacebook Messengerで連絡がきて、起業家が集まって話すイベントに誘われました。そこで話した、ある起業家のサービスが自分に刺さって、オフィスに遊びにいくことになりました。

-エンジニアとしての経験が少なかったのに採用された理由は何でしょうか。

理由は3点あったと思います。

1点目は、大手のソーシャルゲーム会社で働いていたので、ネームバリューがあったことです。大手でエンジニアとして新卒採用されているので、それなりにできるだろうと思われていました。

2点目は、転職先の事業領域に興味があったことです。エンジニアのなかには、事業よりも技術に興味を持つ人もいますが、私は、事業の内容自体に興味があり、普段から情報収集していたので感性が合いました。

3点目はキャラクターでしょうか。エンジニアというとどういうイメージをもつか、わかりませんが、私は、全員と仲良くなれ、社交的なほうだったのでキャラクターも買ってくれたのでしょう。

-エンジニアということですが、技術に関することは面接では聞かれなかったのでしょうか。

聞かれませんでした。技術の話はしなかったです。やりたいことや、意欲は伝えました。

-それでは、様々なことは、入ってからがんばった感じでしょうか。

そうですね。分からないことだらけなのでひたすらググって勉強しました。また、知らないことは、先輩に質問しました。とにかく一生懸命質問したことで技術力が伸びたように思います。

質問しすぎて迷惑くらいだったかもしれませんが、Googleで調べてもわからないことは、分かるまで聞くことが大事です。

入社してからバックエンドのことはかなり詳しくなりました。チームコードの書き方やインフラにいたるまで、様々なことをキャッチアップしていきました。

3年ほど在籍していましたが盗めるものは盗もうと思い、周りのエンジニアから勉強しました。また、フロント周りも数か月担当していたので、自社サービスをゼロから自分で立ち上げるうえで必要な素養を自分で勉強しました。

ビジネスサイドを学ぶため、2回目の転職を決意

-その後、別のEC系の会社に転職されていますね。

直接のきっかけは社長から直接誘われたことです。転職した理由を考えると、毎日遅くまで働いていたので、もう少し労働時間が短くて、自分でサービス開発する時間がほしいなということが挙げられます。

また、プログラミングスキル以外のスキルも身に着けたいと思いました。ビジネスのことにもっと絡んでいきたいし、もっとビジネスサイドのディレクションにも携わりたいと感じました。

その結果エンジニアがいない組織にエンジニアとして転職しました。

-エンジニアがいない組織でエンジニアとして活躍するにはどうしたらいいでしょうか。

エンジニアのいない組織だと、すでに外注していたものがある状態です。よって、まずはすでに書かれてあるコードを読んで自分から理解していかないといけません。

また、エンジニアがいない組織だと、会社としてのITリテラシーが低く、コミュニケーションにも時間がかかります。

共有フォルダがなかったり、dataは全部エクセル管理だったり、Googleカレンダーのようなスケジュール管理システムがなかったりしました。まずは、土台を整えるところから始めました。

コミュニケーションツールでいきなりSlackを導入するのは大変なので、Chatworkから始めるといったような感じでした。

相談する人がいないので、自分で決めて、意思決定をしていきました。

-外注コードを見て、解読する作業はいかがでしたか。

自分の書き方と違いますし、クラスやメソッドに関して、外注した会社内でも違っているので解読だけで大変でした。

ひたすらググって調べていく英語のリーディングのような作業でしたよ。

-転職していかがでしたか。

2社目の在籍中に年収が上がりましたが、転職して給料が大幅に下がりました。数か月いたら、知りたかったことを知る事ができたので、すぐに辞めることを考えました。

仕事自体も想像していたよりつまらなかったのも辞めようと思った理由です。結果的に、2回目の転職は良かったとは言えないかもしれません。

フリーランスとして月収100万円を達成

-その後、すぐに転職をしたのでしょうか。

会社は辞めたのですが、すぐに転職はせずに、フリーのエンジニアになり受託の仕事をしていました。ちなみに現在は、受託でなくベンチャー企業でCTOをしています。知り合い伝手に手伝っていたらいつの間にかCTOになりました。

-仕事はどういう経緯で獲得していたのでしょうか。

知り合いがサイトを作ろうとしていて、フロントを作る人を探していたので声がかかりました。RubyとRails、AWSの環境だったので自分でもできるなと。

そこから、仕事が色々なところからどんどん来るようになりました。

-フリーランスですぐに月収100万円を稼いだとのことですが、どのようにしたら稼げるのでしょうか。

5万円/日(8h)で働けば大丈夫です。同じ会社で週5日常駐でもいいですし、週1の会社を複数社とるでもいいですけど、1日5万円の単価を目安にするとよいでしょう。

ただし、人間らしい生活ができなくなるときがあるので仕事のしすぎには注意してください。たくさんの会社の案件を受託していたときはきつすぎました。

-単価交渉で工夫することはありますか。

値下げ交渉するところがあるので、少し高めに提示して、値下げに応じていく流れがスムーズかもしれません。

-他にフリーのエンジニアとして働くうえで気を付ける点はありますか。

極論になりますが、もめてキレてもいい知り合いレベルの人と仕事するのがいいですね。関係が深く、仕事でゴタゴタを起こしたくない人とは仕事をしないほうがいいです。

自分は失敗したことがあったので、知り合いレベルの人と仕事をするようにしていました。

バックエンドの経験を積んでエンジニアとしての価値を上げよう

-最近はフリーのエンジニアも増えていますが、そのなかで差別化するにはどうしたらよいでしょう。

フリーのエンジニアになりたてでエンジニアとしての経験が浅いと、低い価格で案件を取る場合があります。ただし、その後の運用コストや機能追加時の設計を考えると、しっかりした人が構築したほうが、初期コストがかかっても安くつきます。

こうした付加価値を発注主に伝えられるとよいでしょう。将来的には○○もできますよと、自分から提案すると高いコストを発注主も払ってくれるようになります。

-エンジニアとして市場価値を上げていくためにどうしたらよいのでしょうか。

バックエンドから取り組むべきです。バックエンドは、エンジニアとして生きていくうえで絶対に必要となります。

バックエンドを深堀したほうがいいですね。Webサービスを作るうえで裏側がどうなっているかわかるようになるので困らなくなります。

フロント単発だけで経験を積んでも、少人数のベンチャーで経験が積めません。
プログラムをただ書けるだけではなく。プログラムを書いて、ミドルウェアの調整や裏側のロジックまで考えていかないといけません。

ミドルウェアに詳しくなると、Mysqlに詳しくなりますし、高速化するにはどうしたらいいかまで考えられるようになります。

バックエンドで作れないのは、AIのように特殊な数学の知識が必要なものくらいです。よって、バックエンドから入ってフロントに慣れていくのがよいでしょう。

-フリーになってからの仕事を取っていくうえで大事なことは何でしょうか。

エンジニア以外の人とつながっておくことが大事です。仕事の相談は非エンジニアから来ることが多いので、自分で何か起こしそうな非エンジニアとつながっておくといいと思います。

フリーになる前から、ちょくちょく相談が来ていました。

-単価を安くされないためのコツはありませんか。

よく言われるのは発信をすることですが、SNSやブログ等で発信をしたことは全くありません。

何が評価されたかというと、1社目が大手ソーシャルゲーム企業で働いていたこと、2社目が話題になったベンチャー企業の古株であったことでした。

話題になる会社の初期メンバーは会社選びのセンスがいいと思われるので、それだけで評価されて買いたたかれることはなかったです。

新しいことに取り組んでいるベンチャーを選ぼう

-エンジニア目線で良いベンチャーの選び方を教えてください。

良いベンチャーの定義をエンジニアの市場価値アップにつながると定義します。

先進的なことをしている企業は、エンジニアにとっては良い企業でしょう。
最近だと、VRやブロックチェーン関連のベンチャーでしょうか。会社が伸びるかは別として、先端的なことの仕組みに詳しいと興味を持たれます。

また、エンジニアで注目する人はいないですが、資金調達をはじめ話題になって人の目に触れているベンチャーは大事です。

まだ赤字でも大きく勝負して、新しいことに取り組んでいる会社は良いですね。

Yahoo!やカカクコムといった大手で働くこともいいのですが、会社としての伸びしろは大きくないのと、一歯車になるので、個人的には良いとは思いません。

-最近良い会社はどこでしょうか。

それが、最近いいなと思うベンチャーはないんですよね。

-メルカリはいかがでしょうか。

確かにメルカリは良い会社だと思います。ですが、私の価値観で良いなと思うところはやっぱりあまり浮かばないですね。

知り合いのエンジニアでもDeNAやリクルート、LINEといったメガベンチャーと呼ばれる企業で働いているエンジニアがいますが、現在、ベンチャー企業で採用していて採用したいとは思いません。

特定の専門領域のことだけやっている大手企業のエンジニアという感じで、ベンチャーで戦えるようなタイプではないからです。組織が大きくなって、分業がしっかりできるようになれば話は変わってくると思います。

若手エンジニアにメッセージ

-エンジニアとして生きていこうとしている若手に何かメッセージはありますか。

1番伝えたいことは、生きていれば死なないのでがんばれということですね。

もっと実用的なアドバイスをすると、今やっている仕事が横展開できて、他の会社でも通用するものかは考えてほしいです。

今の会社でしか通用しないスキルだとソシャゲバブルが崩壊したときのように困る場合があります。

-スキルといっても、同じ会社にいると他の会社で通用するか分かりにくそうです。

友達に聞くとよいですね。またエンジニアだと他のベンチャーが作っているWebサービスを見て、これなら作れそうだなと思えるとスキルが活かせます。

逆に、他社のサービスを作る事想像して、できなかったら、今の会社でやっていることが市場で評価されないかもしれません。

目安としてInstagram(と同様のサービス)を1人で作れますというのは分かりやすい指標ですね。

-ありがとうございました。

編集後記:

今回は、経験豊富な現役エンジニアの方に取材させて頂いた。大手、ベンチャー、フリーランスと様々な環境で働き、成功してきた理由がはっきりとわかる取材となった。

エンジニアは、需要が高まっている一方で、その人数も増加しており、他との差別化を考えていく必要がある。エンジニアの方には、彼のマインドやスキルをぜひ参考にしていただきたい。

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