勉強法

日本人学校と現地校、どちらに子どもを通わせるべきか

近年、日本の企業はグローバル化が加速しており、多くの日本人が駐在員として世界各地に赴任する機会が増えています 。その際、家族を連れていく方も多いと思いますが、一番悩ましいのがお子さんの教育でしょう。

今回は、日本人学校・現地校の両方に通ったことのある私が、体験を交えながら両者のメリット・デメリットを挙げていきたいと思います。読者の皆さまの一助となれば幸いです。

自己紹介

私は親の転勤のため、小学校1年生の秋から 4年生の夏ごろまで英国で暮らしていました。渡英して1年間は日本人学校に通い、あとの2年間は公立の現地校に通っていました。現地校に転向した際は、自己紹介が辛うじてできるレベル(週に1回、現地の家庭教師から英語を学んでいました)でしたが、クラスメイトや先生と毎日会話することで1年ほどでスラスラと英語が話せるようになり、授業にも困らない程度になりました。

現在は、帰国してから10年以上経ち 、TOEICの点数は800点ほどで帰国子女と言えるほどではなくなってしまいましたが、日常的な英会話などは難なくこなせるレベルは保っている、といった状況です。

日本人学校に行けば良質なコミュニティが手に入る

まず、日本人学校について。週5日、日本の学校と変わらない環境と内容で学ぶことが出来ます。英語の授業もあり、英語に触れる機会が全くないわけではないです。
日本人学校の最大のメリットは、コミュニティだと思います。海外赴任している家庭はその多くが裕福で、かなり上質なコミュニティです。実際、私の日本人学校の友人たちは、帰国後、学校は進学校に通い、就職先も一流企業という子が多いです。また、いわゆる駐妻にとっても、日本人学校の母親コミュニティは、異国の地で心細い思いをせずに安心できる環境であることは間違いないでしょう。

デメリットとしては、言うまでもないですが語学の面が最も大きいです。学校が日本人ばかりで家でも日本語だと現地の言葉を使う環境がほとんど無く、語学力は日本にいるときとあまり変わりません。私の友人で、学校が終わった後に語学スクールに通っている子もいましたが、ほぼ毎日通っても現地校のレベルまでいくのは難しそうでした。

また、日本人学校は私立なので、公立の現地校に通うよりはお金がかかる面も、デメリットといえるでしょう。

現地校での学びは非常に大きい財産となる

現地校について。最大のメリットはやはり語学面です。学校の中ではもちろん親に頼ることはできないので、無理やりにでも現地の言葉を理解し使わなければならなくなります。人間面白いもので、負荷をかけた分だけ成長するもの。1年も経てばかなりペラペラになります。

学校によってはESLという、母国語が英語でない生徒を集めた補習もあるので、そういった制度を利用すれば段階的にステップアップすることも可能です。ちなみに、前述の通り私はほとんど喋れないレベルで現地校に転校したこともあり、最初は会話や授業にとても苦労しましたが、ESLに助けられました。ESLの授業は毎日1時間ほどあり、少人数なので困ったことをすぐに相談しやすいですし、参加している生徒同士で仲良くなり助け合うこともできます。ESLは授業に困らないレベルになったら行く必要がなくなるのですが、私は1年足らずでESLを卒業することができました。

週に1回の家庭教師とESLをつければ、小学校でしたら長くても1年ほどで追いつけるのではないでしょうか。

また、現地の友人との付き合いは視野を広げ、様々な価値観に触れる良い機会になるでしょう。ホームパーティなど気軽に友人と親睦を深められる機会が多く、煌(きら)びやかに感じて羨ましくなる一方で、お弁当がスナック菓子とリンゴだけ、という状況を見て日本人で良かった、と感じるなど、“当たり前”の違いに刺激を受ける毎日でした。公立校であれば学費がかなり安いこともメリットです。

デメリットとしては、最初は親も子どもも精神的な負担が大きいという点です。慣れない環境に飛び込むことに加えて言語の壁があるので、そこを乗り越えるにはある程度の覚悟が必要です。最初は私も言いたいことをうまく伝えられず、心細い思いをしました。

また、個人的には学習の面でも差があると感じました。物事の答えにたどり着くプロセスが違うのです。例えば、引き算の概念がないところ。これは欧米に限った話かもしれませんが、日本人なら13-7=6と計算するところを、欧米人は7+□=13と思い浮かべて□に数字を当てはめていくので計算がかなり遅いのです。ですので、日本に帰ったときにギャップに苦しまないよう、日本語補習の学校に通ったり通信教育などをとったりしてある程度日本の教育に触れることをお勧めします。

加えて、音楽や体育といった座学以外の授業は日本ほどきっちりとカリキュラムに加えられていないので、習い事をしていないとそういったものに触れる機会がない印象でした。

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現地校は、公立と私立でかなり違いがある

現地校に通うとなると、公立か私立か悩まれる方も多いでしょう。公立ですと学区域が決まっているので、その区域の中で希望を出し、空きがあるところに入学することになります。希望順を提出できるので、自分の学区域の公立校で雰囲気が合わないところがあれば希望に入れないこともでき、日本の公立校より選択権はあります。ただ、日本人が駐在で行く地域は比較的治安が良い場合が多いので、公立校も悪いところは少ないと思います。

私立は、日本の学校とは比べものにならないほど教育に力を入れています。私が見学に行った私立校は、学校としては上位のレベルではないですが、それでも放課後がすべて宿題で潰れると言っていたほどです。学費も日本の私立校の2倍以上するのですが、それを払ってでもお釣りがくるほどの教育と言われています。良い学校に入ることが出来れば、日本のように放課後塾に通わせるといったオプションを選択する必要がないからです。

ただ、私立校は入試があるところも多いので、レベルの高い学校に入学したいのならばそれまでに英語力を上げておく必要があります。

公立校の良いところは、地域にもよりますが、私立校よりも様々な家庭環境を持ち幅広い人種のクラスメイトがいるので、日本人だからと言ってそこまで浮かないですし、違う文化のことを知ることができて面白いところです。ただ、教育はかなり緩く、先生がポテトチップスを食べながら教壇に立っている光景は日常茶飯事です。

英語ができない子にとっては追いつきやすくて楽ですが、先生のレベルもまちまちで、高水準な教育とは程遠いです。反対に私立校はとにかく教育のレベルが高いですが、その分追いつくのは大変だと思います。もちろん多くの私立校もESLはあるので、一概には言えませんが。

私は公立校も私立校(英語ができなかったので書類選考のみのところ)も複数校見学しまして、学校を決めました。両親は私立校に通わせたがっていましたが、私はのびのびとした公立校の雰囲気に惹かれたのとESLの手厚さで通う学校を選びました。

また、学校に通う日本人の人数も重視していました。全くいないと不安ですし、かといって多いと日本語で話してしまうので、日本人がクラスに1人程度の学校にしました。

勉強に関しては日本の通信教育をとっていたので帰国後も困ることはありませんでしたし、放課後の友人との交流などは英語力や異文化理解を深めるうえで良い経験だったと思うので、公立校で過ごしたことに後悔はありません。親の立場から考えると、やはり私立校のほうが安心だったとは思いますが。

現地校に進学することを決めたら、必ず複数校見学することをおすすめします。やはりしっかりと自分の目で見て雰囲気が合うかどうかを確認することが大切です。その際の案内などで日本人に慣れている学校を見抜くこともできます。

最後に

ここまで日本人学校・現地校のメリット・デメリットについて取り上げましたが、最も大切なのはお子さんご自身の考えです。お子さんの希望を尊重すれば、それぞれのマイナス面は「自分がこう決めたのだから」と思ってお子さんはある程度乗り越えることができるはずです。

海外生活は親にとっても子どもにとっても不安だと思いますが、その分、得られるものも多く、素晴らしい経験になるでしょう。その中でも子どもにとって1日の大半を過ごす学校は、とても重要な要素となります。それぞれの良い点、悪い点を把握したうえでしっかりと親子で話し合い、お子さんの意思を尊重した選択をしてあげてくださいね。